お子様の問題(親権・養育費・面会交流)
親権の獲得
未成年の子どもがいる場合、離婚後の親権者を夫婦のどちらにするか、離婚時に指定しなければ離婚することはできません。夫婦間の話し合いで親権者を決めることができない場合には、調停や裁判で定める必要があります。
調停や裁判で親権者を定める判断要素としては、①乳幼児は母親優先、②現実に子を養育監護している者を優先する、③15歳以上の子の意思の尊重、④兄弟姉妹を分離しない、⑤監護能力の有無、⑥経済的な状況、⑦住環境の状況などがあります。
夫婦どちらが親権者になることが子どもの利益になるかを重視して判断されます。
離婚後に親権者を変更したいときは、父母の話し合いではなく、家庭裁判所の手続きを経ることになります。ただし、生活環境が変わることは子どもに負担が大きいため、現在の親権者のもとで安定して暮らしている場合には、親権者の変更が認められることは難しいでしょう。
養育費
養育費とは、原則として成人に達するまでの衣食住の経費や養育費等のことをいいます。
養育費の額は、負担する側の経済力や生活水準に準拠し、基本的には双方の収入バランスに応じて算定します。裁判実務で利用されている「養育費算定表」が算定の目安になります。
養育費の支払期間は、子どもが成人するまでが原則ですが、夫婦が合意すれば大学卒業するまでと定めることもできます。
将来的に、子どもの進学や長期の入院、失業や再婚などにより経済事情が大きく変化した場合には、養育費の増額や減額が認められる場合もあります。その場合は、増減額について協議し、まとまらないときは家庭裁判所に調停を申し立てることができます。
養育費の取り決めをしたのに、相手が支払ってくれない場合は、家庭裁判所を通じて履行勧告や履行命令を出してもらったり、強制執行によって相手方の給与を差し押さえる方法などがあります。
面会交流
離婚後、父母のうち親権者または監護者にならなかった方が、子どもに面会して一緒に時間を過ごしたり、文通したりすることを面会交流といい、その権利を面会交流権といいます。
面会交流権のある親に対して、子どもに会わせないようにすることはできません。子どもに面会することは、親として当然持っている権利だからです。
しかし、面会交流をすることで、子どもに悪影響があると考えられたり、相手方が定められた条件を無視している場合には、家庭裁判所に面会交流権の制限を申し立てることができます。
面会交流権が制限・停止されるのは、①面会時に子どもに復縁を迫ったり、監護者の悪口を言う、②金銭の無心をする、③面会交流の条件を守らない、④子どもや親権者、監護者に暴力を振るう、⑤父母の対立が激しいなどの事情で、子どもの精神的安定が守られない、という場合です。