離婚原因
不貞行為
夫または妻が、配偶者以外の異性と性的関係を持つことをいい、一時的か継続的かを問わず、一度でも肉体関係があれば不貞行為となります。いわゆる不倫・浮気で、愛情の有無は関係ありません。
ただし、強姦のような自由な意思に基づかない場合には該当しません。
性的関係に至らないとみなされる行為の証拠しかない場合には、不貞行為があったとは認められない可能性もあります。
一方、性行為を伴った関係にあると判断できる内容のメールや、ホテルに一緒に出入りしている写真などがあれば、不貞行為の証拠として認められやすくなります。
悪意の遺棄
夫婦は同居し、互いに協力し扶助する義務があります。悪意の遺棄とは、この義務を配偶者の一方が正当な理由がないのに、果たしていなかったというケースに適用されます。
例えば、ギャンブルに興じて働かない、収入があるのに生活費を渡さない、合意がないのに勝手に別居した、家から締め出し帰宅できないようにする、などの行為がこれに該当します。
このような状況にあると判断されたときには、悪意の遺棄があったとして離婚の訴えが認められる可能性があります。
ただし、単身赴任による別居、収入が少ないため医療費を工面できない、病気で働けず生活費を渡せない、などのケースは悪意の遺棄として認められません。
3年以上の生死不明
3年以上にわたり配偶者からの連絡が途絶えて、完全に行方不明となって生死もわからない状態をいいます。生死不明とは、生存も死亡も確認できない状態をいい、単なる別居や住所不定などはこれに含まれません。
生死不明が3年以上続いていることを証明できれば、離婚が認められます。
なお、生死不明から7年以上経過している場合には、家庭裁判所に失踪宣告を申し立てることもできます。失踪宣告とは、行方不明の人を法律上、死亡したことにするものです。
失踪宣告の審判がなされると、失踪した配偶者は死亡した者とみなされ、婚姻関係が終了します。
その場合、配偶者が残した財産を相続人が相続できるようになります。
重度の精神障害
単に配偶者が精神病になったという理由だけでは認められません。夫婦関係にある間は、互いに扶助しなければならず、精神病にかかったときも支えあうのが原則です。しかし、「回復の見込みのない重度の精神病」になった場合には、夫婦関係の継続を強制できないと判断されます。
「回復の見込みのない重度の精神病」に該当するか否かについては、医師の診断・鑑定を参考にし、それまでの介護や看護の状況、さらに離婚後の治療や生活についての方策などについて、総合的に裁判官が検討し、離婚を認めるかどうか判断します。
うつ病やパニック障害など、適切な治療を受けることで回復の見込みがある精神障害の場合は該当しません。
その他 婚姻を継続し難い重大な事由
配偶者が夫婦関係の修復が難しくなるほどの行動をしていて、共同生活の回復が見込めない場合、「婚姻を継続し難い重大な事由」があるとして、離婚が認められる可能性があります。
例えば、多額の借金、過剰な宗教活動、暴力、モラハラ、ギャンブルや浪費癖、アルコール・薬物中毒、性交渉の拒否、犯罪による長期懲役などがあげられます。
性格の不一致も夫婦関係を継続できない理由のひとつですが、それだけでは「重大な事由」と認められない可能性が高くなります。
裁判所では、夫婦間の諸事情を考慮した上で、総合的に判定して離婚の可否を決めていきます。