お金の問題(婚姻費用・財産分与・年金分割)

婚姻費用

婚姻費用とは、生活費や養育費など、夫婦が生活する上で必要な費用のことです。たとえ別居中や離婚協議・調停・訴訟中であっても、離婚が成立するまでは、夫婦には互いを扶養する義務があります。夫婦間の生活レベルを同程度に維持するために、婚姻費用を分担する必要があります。

婚姻費用は、収入の多い側が収入の少ない側に支払います。金額については、裁判実務でも利用されている「婚姻費用算定表」を目安に、まずは夫婦間で話し合いをします。協議がまとまらない場合は、家庭裁判所に調停を申し立て、合意できなければ、審判により婚姻費用の分担額が定められます。

財産分与

財産分与とは、夫婦で築いた財産を離婚時に分配することをいいます。共有名義の財産や、夫婦の一方の名義であるが婚姻後に協力して築いた財産が対象となります。不動産、家財道具、自動車、預貯金、有価証券などがこれに該当します。ただし、婚姻前からそれぞれが有していた財産や、婚姻中に相続した財産などは「特有財産」として、財産分与の対象にはなりません。

財産分与の内容は、主に以下の3つの要素で構成されます。
①清算的要素
婚姻中に夫婦の協力によって形成された共有財産を離婚の際に清算するもので、通常、財産分与という場合はこの清算的要素を指します。原則として夫婦2分の1ずつ分配されます。
②扶養的要素
離婚すると経済的に自立が困難となる配偶者に対して、離婚後の扶養として分与されます。
③慰謝料的要素
相手方の不貞行為やDVなどによって精神的苦痛を受けた場合には、財産分与においても慰謝料的要素を加えて、金額を上乗せする場合があります。

年金分割

平成19年4月から年金分割制度が施行され、年金分割は財産分与とは別の問題として扱うことになりました。年金分割には「合意分割」と「3号分割」があります。
合意分割は、婚姻期間中の厚生年金の標準報酬の多い方から少ない方に対し、夫婦間で定めた割合で、保険料納付記録を分割するものです。夫婦間で分割割合について合意できない場合には、家庭裁判所の調停または審判で割合を定めますが、いずれの場合でも標準報酬額の最大2分の1までの割合です。

3号分割は、妻が専業主婦である場合、平成20年4月以降の相手方の厚生年金保険料納付記録を妻の請求により、2分の1の割合で分割するものです。3号分割の場合は、当事者間で分割割合について合意する必要がなく、相手方が要求しても2分の1より割合を下げることはできません。

また、このような年金分割をすることができるのは、厚生年金と共済年金のみで、国民年金や企業年金、共済年金の職域部分は対象となりません。

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